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よろづ図書倉庫『向日葵』

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外部作品外伝


双子と猫のpaststory(後)


※この小説はpixiv企画ぴくゆるの自キャラメインのお話です。









 トレランシアの家に来て、数ヶ月が経った。
 クラベルはあれ以来、頻繁に俺たちに声をかけてくる。
 メイドたちは相変わらず俺たちをいい目で見てはくれないが、クラベルの父親は今までにあった奴らと比較するとやさしく思える。あのかしまし娘がなにか手回ししたんだろう。剣の稽古なんかをつけてくれるようになった。
 
 クラベルは俺たちにさまざまな遊びを提案してくる。
 誰から聞いたのか(いや、多分ルクスだと思うが)俺に向かって虫のおもちゃを投げつけてきたときは精神的に死ぬかと思った。
 あるときは家のでっかい池で泳ごうといってきた。だが俺たちは泳いだことなんてなく、そのことを言ったら無理やり突き落とされた。
 強引だが、不愉快ではなかった。
 
 ルクスにも笑顔が戻ってきた。
 よく、クラベルの部屋に行ってはぬいぐるみで遊んだり、リボンを髪につけてもらったりしていたらしい。
 なんで男の癖にそんなに女々しいんだ、と思う。
 あるとき、俺の目の前に女みたいなドレス姿で現れたときはびっくりした。しかもクラベルまでそういう服を俺に着せようと追いかけてきて、散々な目に遭った。
 ……実際に着たのか? そんなことは思い出したくない。
 
 
 トレランシア家で過ごした期間は、今迄で一番長かったんじゃなかろうか。
 それまで数ヶ月、早けりゃ数週間で追い出されていたが、トレランシア家には2年くらいいたような気がする。
 それはクラベルのおかげなんだろうか。そうは思いたくないが……
 
 
 でも、そんな日々は永遠に続かないわけで。
 
 
 
 
「ね、木登りしましょ。家の裏に、すっごく高い木があるの」
 
 
 ある日、クラベルがそう提案してきた。
 俺は剣の稽古が終わったばかりで疲れていたので、本音としてはついていきたくなかった。
 
 
「木に登って、何かあるのか?」
 
「え、高いところって気持ちいいでしょ? きっと眺めもいいと思うのよ。
いっぱい遊んだ池も一望できるし、向こうの山も見えるかも」
 
「はぅ、それはすてきなのです。……でも、オレ、木に登ったことないのです」
 
「じゃあ教えてあげるわよ」
 
 
 クラベルがにこにこと微笑んで言う。ルクスは少し考え込み、「じゃあ行くです」とうなずいた。
 
 
「ルクスが行くなら、アシールも行くわよね?」
 
「なんだそのもれなくついてくるみたいな言い方は。……行くけど」
 
「決まり、行きましょ!」
 
 
 クラベルはそういって部屋を駆け出る。
 扉の前で手を振って俺たちを呼ぶので、仕方なくついていった。
 
 
 玄関を出て、屋敷の裏に回る。
 向こうにはこの間クラベルに突き落とされた池が見える。
 ここは、俺たちにとっての遊び場だった。
 
 
「ほら、あの木! すっごく高いでしょ。上手く登れたら、部屋にも入れそう」
 
 
 クラベルが指差す木は、他の木のどれよりも高かった。
 3階建ての屋敷と同じくらいの高さだろうか。
 枝も大きく茂っていて、確かに部屋に届きそうなくらいだ。
 
 
「さて、早速登るわよー。ほらルクス、靴脱いだほうが登りやすいわよ」
 
「はう……痛くないですか?」
 
「すぐ平気になるわよ、男でしょ」
 
「男だからって言う理由付けは勘弁してくれ」
 
 
 クラベルはひょいひょいと身軽に木を登っていく。
 ネコだからこういうのも得意なのだろう。
 ルクスは靴を脱いで木にしがみついたが、上手く上に登れないようだ。
 すぐに「無理ですよ、こんなの」と音を上げて木の根元に座り込んでしまった。
 クラベルはいつの間にか、俺たちの頭上にある枝の上に立っていた。
 
 
「ちょっと、ルクス、アシール! あなたたちも来なさいよ!」
 
「うー、無理です、あねうえー!」
 
「お前みたいなネコじゃねえんだからそんな身軽にはできねえっつうの!」
 
「どういう意味よ、それ? アタシは先に行ってるからね!」
 
 
 クラベルはどんどん上の枝に飛び移る。まったく、身軽なこって。
 気づいたら、クラベルはもう少しで3階の部屋に届きそうな高さまで登っていた。
 俺とルクスは、そんなクラベルを木の真下から二人して並んで見上げていた。
 
 
「ねえ、すっごくいい景色よ! 登ってきなさいよー!」
 
「無理だっつってるだろ馬鹿! なんだよお前は一人ではしゃいで……」
 
 
 ベルに向かって叫んでいたが、オレはふとルクスの様子がおかしいことに気づいた。
 さっきまでむーとかうーとか唸っていたのだが、いきなり黙り込んでしまったのだ。
 オレはどうしたのかと思って、ルクスのほうを見る。
 
 ルクスはおびえた表情で、木を見上げていた。
 がくがくと、身体が震えている。
 
 
「ルクス?」
 
「……あ……」
 
 
 その表情は、こちらまで不安になるもので。
 どうしたんだ、と肩をたたこうとしたのとほぼ同時、ルクスが叫んだ。
 
 
「あねうえ、早く降りて!! 危ないですっ!!」
 
「え?」
 
 
 ……同時だったか、直後だったか分からない。
 
 クラベルの乗っていた枝が、大きくしなり、突然枝の根元から折れてしまった。
 
 
「あねうえ!!」
 
「ベル!?」
 
 
 目の前に、クラベルの身体が落ちてきた。
 
 
 
 
 その後、何が起こったかよく覚えていない。
 
 なんとなく覚えているのは、倒れたクラベルの名前を、二人で必死になって呼んでいたこと。
 そうしていたら、屋敷の中にいたメイドが気づいて、大騒ぎになったこと。
 
 気づいたら、怖い顔をしたクラベルの父親が目の前に立っていた。
 荒れた口調で、何かを俺たちに怒鳴っていた。
 
 
「あの噂は迷信だと、思っていたのにな」
 
 
「もう二度とクラベルには近づくな」
 
 
「この疫病神め」
 
 
 その言葉は、今まで受けたどの言葉よりも深く、突き刺さった。
 
 
 
 
 メイドに見張られながら部屋に戻る。
 自分たちの部屋に入り、扉を閉めると、ルクスが唐突に泣き出した。
 
 
「……うぇ、ふぇっ、兄上、兄上……! あねうえが、あねうえが……!!」
 
「……ルクス、泣くな。ベルのやつは生きてる、しばらく安静にしてれば怪我も治るってメイドが話してたろ」
 
「でも、オレのせいで……オレがもっと早く気づいてたら、あねうえは……」
 
 
 泣きじゃくるルクスをなだめようと、頭をなでる。
 
 
「なんで、なんであねうえが傷つかなきゃならないんですか!?
オレが痛いのは我慢できるのに、なんであねうえが……っ!
やだ、やです、もうこんなのは嫌です……! うわああああああん!!」
 
 
 オレにしがみつき、ルクスは泣きじゃくる。
 
 ……本当に俺たちには疫病神でもいるんだろうか。
 誰かに不幸を与える、嫌われ者。
 きっと疫病神は、俺たちが幸せになるのを許さないんだ。
 誰かと関わろうとするならば、それを裁く、理不尽なヤツ。
 
 それに苦しむのは、俺たち。
 不本意な不幸を真っ向に受ける。
 
 
 俺たちは、どうすればいい?
 きっと何日も経てば、また別の家に引っ越すことになるだろう。
 そうすればきっと、今までと同じ「生活」に戻る。
 嫌われて、後ろ指を差される、あの生活に。
 そしてまた、誰かが傷つく……
 
 
 ……いや、もうそんなのはごめんだ。
 
 
「……ルクス。考えがある」
 
「……兄上?」
 
「この家を出て、旅に出よう」
 
「ふえ……旅、です?」
 
 
 誰だったかから聞いた。
 世の中には、世界中を旅する人がいるって。
 俺たちもその人のように生きよう。誰にも関わらない、そんな生き方をしよう。
 
 
「ああ、一箇所にとどまらないで、いろんなところを見てさ。
今の後ろ指をさされるような「生活」よりはずっとましだと思うんだ。
どうせここにいても、多分ベルとは話もさせてもらえねえよ。……こんなとこにいる意味なんかない」
 
「……でも、外は、怖いのです」
 
「ん? 俺を誰だと思ってるんだ、お前は。すっげえ強い、お前の兄上だぜ?
お前もある程度魔法は使えるだろ。怖いもんなんかねえと思うぜ」
 
「で、でも、そんな急にはいけるとは思えないです。屋敷の外に出るのも難しそう……」
 
「ま、それはメイドの目を盗んでな? 部屋の前にいる見張りだって、ずっといるわけじゃねえだろ。
まあそういう頭働かすのはお前に任せた」
 
「……旅に、行く前提なのです?」
 
「行く前提」
 
 
 オレはルクスの頭をぽんぽんと叩く。
 ルクスは仕方ないのです、と笑みをこぼした。
 よかった、やっと笑った。
 
 
「……あねうえは、心配しませんかね」
 
「あいつのことなんかどうでもいいだろ。この屋敷にいても、会うことなんかできねえんだから」
 
「そう、ですね」
 
「じゃあさ、計画しようぜ」
 
 
 
 
 それから、何日かの間に俺たちは屋敷を抜け出して旅の準備もする計画をした。
 メイドは気味悪がって、予想以上に俺たちに近づかなかった。おかげでだいぶ動くのもラクだった。
 俺は廊下に飾っていた剣を拝借した。外には魔物がいるらしいから、剣はもっていったほうがいい。それにこの剣は魔法を宿すことが出来るがそんなに価値のあるものではないらしいから、もって行っても気にしないだろう。
 あとは、運ばれてくる食事についてくるパンをこっそりためこんだ。旅に出たあとの食料だ。
 それと、ロープを持ってきて、2階にある部屋から降りるための用意もした。
 
 
 そして、計画を決行する日がやってきた。
 
 
 夜。
 部屋の外で、足音がする。見張りのメイドが交代する時間のようだ。
 
 
「……ルクス、先行ってくれないか?」
 
「はぅ、どうしました?」
 
 
 姿を隠すための布を羽織ったルクスが首をかしげる。
 
 
「ちょっとやり残したことがあって。すぐ行くから、な」
 
「……分かったです」
 
 
 俺はこっそり扉を開け、廊下に出る。
 そして、足音を立てないように歩く。……クラベルの部屋に向かって。
 
 クラベルの部屋に行くと、ここもメイドが交代する時間だったらしく、部屋の前には誰もいなかった。
 静かに扉を開け、中をのぞく。
 
 
「……誰?」
 
「あ、俺だ、アシールだけど……大丈夫か?」
 
 
 俺は恐る恐る顔を覗かせる。
 クラベルはベッドに横になっていた。
 クラベルが起き上がろうとしたが、俺はそれを止めた。
 
 
「大丈夫よ、安静にしてれば治るって。まだ少し痛いけど……。
それで、アシールはどうしたのよ、こんな夜中に女の子の部屋に入るなんて」
 
 
 クラベルはへらへらと笑っていた。
 怪我したって言うのに、なんでこいつはこんなにのんきなんだろう。
 
 
「ちょっと俺たちさ、家出しようと思って」
 
「え?」
 
「あんたらに迷惑かけすぎたからさ。いないほうがいいだろ?」
 
「……なんでそんなこと言うのよ」
 
 
 クラベルの声が、不機嫌そうなものになる。
 こっちはむしろ、なぜ俺の言葉をとがめるのか分からないが。
 
 
「俺が正真正銘、疫病神になっちまったからだよ。あんたまで傷つけたのがその証拠だよ」
 
「あれは、アタシがふざけてたから起きた事故よ。あなたたちのせいじゃないって、アタシもいったのに……」
 
「……それは感謝しとく。無駄だったみたいだけど」
 
「……ごめんね」
 
 
 ぼそりと、かすかに聞こえた声。俺はそれを聞き逃さなかった。
 だが、あえて反応はしない。感情移入なんて、してやらない。
 
 
「いなくなるなんて、どこに行くつもりなの?」
 
「さあ、しらねえ。特に考えてねえんだ、実は。いろんなところ見ようかなって考えてる」
 
「そっか……ねえ、たまには帰ってきて」
 
「そんな予定はねえよ、馬鹿」
 
 
 俺はクラベルに言い放つ。相手の顔は、見ない。
 
 
「一度家出したら、きっと二度とこの家には入れねえだろうし。
……だから、こうやって最後の挨拶にきたんじゃねえか」
 
「……二度と会わない、って? 何よその、別れる恋人みたいな台詞」
 
「言ったことヘンに勘違いすんなばーか」
 
 
 恋人とか、何を言ってるんだこいつは。
 呆れを通り越して、苦笑するしかなくなる。なんでこいつは、怪我して数日しか経ってないのにこんなにのんきなんだ。
 
 
「……寂しいわ、せっかく仲良くなれたのに」
 
 
 ぼそ、とクラベルがつぶやく。
 かすかに聞こえたその言葉は、なんだかとても哀しげだった。
 
 
「自分を傷つけるようなやつなんか、お前には必要ないだろ」
 
「でも、ルクスとアシールは」
 
「俺らは俺らで生きてけるよ。一人じゃねえし、きっと大丈夫だ。
だから、俺らのこととか忘れるんだな。
……そろそろ行く」
 
 
 オレはそう言って、部屋から出る。
 クラベルが俺のことを呼んだような気がしたが、俺は無視した。
 
 
 今振り返ったら、ここを離れられないような気がした。
 
 
 自分たちの部屋に戻って、剣を手に取り、食糧なんかを入れた袋を背負う。
 外に続くロープを伝い、俺は屋敷の下まで降りる。
 ルクスが心配そうな顔で、木の陰に隠れて待っていた。
 
 
「あ、兄上」
 
「お待たせ。……行くぞ、ルクス」
 
「……はい、です」
 
 
 俺とルクスは、屋敷に背を向けて歩き出す。
 
 過去をなかったことにはできない。
 でも、できることなら忘れたかった。
 だから、俺たちは変わろうと思ったんだ。
 
 
 もう、誰も傷つけない。
 
 
 
 
 それから何年かたって。
 
 俺たちがギルドで何か仕事はないかと探していたら、いきなり甲高い声で俺たちの名前が呼ばれた。
 
 
「いたーー! ルクス、アシールっ!!」
 
「……っ!?」
 
 
 声のほうを向いてみたら、桃色の髪をした、セリアンとヒトのハーフの少女がいた。
 
 
「あ、あねうえ……!?」
 
「……ルクス」
 
「はぅ?」
 
「……逃げるぞっ!!」
 
 
 ルクスの首根っこをつかみ、クラベルと反対方向に駆けだす。
 なんであいつはここにいるんだ!?
 
 
「あ、こら、にげるな! すいませーん、誰かそこの赤い髪した男の子ふたり捕まえてもらえませーん!?」
 
「すいませんあの不審者止めてくれませんー!?」
 
「兄上、張り合わないでください!! 不審者じゃなくてあねうえですしっ」
 
「あーもう……ぬどりゃっ!!」
 
 
 後ろで妙な声がした、と思ったら後頭部に鈍い衝撃。
 一瞬視界がちかちかして、俺はその場に倒れこむ。
 
 
「っ……!?」
 
「あ、兄上ー!」
 
「はい捕まえた。
……お久しぶり、ルクス、アシール♪」
 
 
 棍を拾い上げ、クラベルがほほ笑む。
 
 
「……な、なんでここにいやがるこのお転婆猫娘!?」

「えー、やだなールクスとアシール探して冒険者になったんじゃない。
旅に出たあんたたちが、もしかしたら見つかるかなって。
そしたらまあ風のうわさでここにいるって聞いてさ、赤い髪の双子が」
 
「うー……あねうえ、反対とかされなかったんです?」
 
「見聞のために旅に出ますーとか言って出てきたわよ。そもそも、ウチ近いし?
確かにあなたたちを探すなんて正直に言ったらあたしも怒られたかもしれないけど。お父様も頑固よねえ、根に持つタイプだわ」
 
「……」
 
 
 さっき棍がぶつかった自分の後頭部はまだひりひりする。
 あいかわらずこいつは無茶をしやがる。
 
 
「……また何かあったらどうするんだよ」
 
「何かって、何のことかしら?」
 
「また俺たちのせいで大けがとかしたらどうするんだよ!!」
 
「……言ったでしょ。あれはあなたたちのせいじゃない。
生きてりゃけがすることなんて数えきれないくらいあるわ。それに傷はちゃんと治るの、アタシだってもう普通に歩けるわよ?
あなたたちはあなたたちよ、ありのままに生きればいいの」
 
 
 クラベルがそういってまた笑った。
 
 ……こいつ、よく笑うよな。
 昔からそうだったけれど。
 
 
「よーし、再会記念にご飯をおごってあげようかしら?」
 
「まじか、おごれ」
 
「兄上欲望に正直」
 
「るせー、お前がぬいぐるみ買いまくるせいで金欠なんだよ」
 
「あらあら。……ふふ、じゃあお店探しに行きましょうか!」
 
 
 
 
 まあ今となっては頻繁に会って向こうがついてくるわからかってくるわで。
 なんていうか、昔と大差なくなってきた気がする。
 
 
「アシール?」
 
 
 声をかけられ、俺は顔を上げる。
 いつの間にか隣にルクスが立っていた。
 
 
「あっ……わりぃ、どうした、ルクス」
 
「んー? ……考え事してたのです?」
 
「ま、まあな。大したことじゃねえよ」
 
 
 俺がそういうと、そうですか、とルクスがつぶやいた。
 
 
「ベルは?」
 
「お支払中なのです。アシール、いっぱい食べましたねー」
 
「あー……久しぶりに食うまともな飯だったから」
 
「ふふ、確かに。
……あの、オレ、思ったんですけど」
 
 
 ルクスがオレの顔を覗き込む。
 
 
「あねうえのおうちにいたときは、悲しいこともあったけど、楽しいこともいっぱいだったなって、思うですよ」
 
「え?」
 
「なんだか、懐かしいなって思うです。あねうえとぬいぐるみ作ったり、あねうえのお洋服着たり、アシールに着せたり」
 
「オレに着せたの部分は忘れてくれねえかな」
 
「えーかわいかったのにー」
 
「そうねーかわいかったわよねー」
 
「ふざけたこと言うんじゃ……な、ベルいつの間にッ!?」
 
「払っといたわよん」
 
 
 クラベルはそう言ってほほ笑む。
 いや、それはありがたいが、問題はそこじゃねえ。
 
 
「かわいくねえ! 男があんな格好してるの平気でいられると思うか!? 恥ずかしいっつーの!!」
 
「えー、かわいかったわよぉ」
 
「あねうえ、いまの兄上が着れそうな服ってあります?」
 
「それいろいろアウトだろ!! バカかお前!!」
 
「んー、あるかも」
 
「やめろ!!」
 
 
 あはは、とクラベルが笑う。ルクスもその隣で笑ってた。
 
 ……ふと、昔の情景が思い浮かぶ。
 幼いころの、3人でいた時の。
 
 ……もう昔の俺とは違うはずなんだけどな。
 あのときが懐かしく思う時があるのは、なんでだろうか?
 
 
「ふふ、じゃあ今度またうちに来なさいよ。帰ってこいとは言わないからさ、一日くらいいいでしょ?」
 
「一日くらいなら……ま、いつか、な」
 
「アシールをいじりまわして遊ぶです!」
 
「るせー、それは絶対嫌だっつの。おい、ギルド行くぞ」
 
 
 俺達は街を歩く、3人並んで。
 談笑しながら、いつものように、いつかのように。
 
 
 
 
 
 


あとがき
 やっとかけた(白目)
 というわけでクラベルと双子のむかし話はこれにておしまい。
 ずっと書こうかこう思いつつ気付いたら企画本編終わってたよぎゃひっ。
 クラベルのことがあって、誰かを傷つけるということに神経質になったバンボロット双子。でも、彼らを変えたのも間違いなくクラベルなわけで。
 まあ正直言っておねーちゃんと双子という組み合わせがとても好きです。おねしょた?
 とりあえず区切りがついてよかった。これからもバンボロット双子とあねうえをよろしくですよ。


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